「空海が少年時代に命をかけた願い」
それが語り継がれる、香川県・出釈迦寺の奥の院「捨身ヶ嶽禅定(しゃしんがたけぜんじょう)」です。
この記事では、空海の壮絶な伝説「捨身ヶ嶽縁起」と、その舞台となった奥の院への登山ルートを、スピリチュアルな視点からわかりやすく紹介します。
捨身ヶ嶽縁起とは?|少年・空海が命を賭けた願い
出釈迦寺の歴史には、弘法大師・空海がまだ「真魚(まお)」と呼ばれていた7歳のころの伝説が残っています。
彼は将来、人々を救うために仏門へ入りたいと願い、我拝師山(がはいしざん)の断崖に登ります。
そして釈迦如来に向かってこう祈ったといわれています:
「もし私の願いが仏の意志にかなうのであれば、釈迦如来よ姿を現したまえ。
そうでなければ、私はこの身を仏に捧げよう」
祈り終えると、真魚は断崖から身を投じました。
するとその瞬間、紫の雲が湧き上がり、釈迦如来と天女が現れて彼の命を救ったのです。
この逸話は「捨身ヶ嶽縁起(しゃしんがたけえんぎ)」と呼ばれ、今も信仰の対象として人々の心を動かし続けています。
奥の院「捨身ヶ嶽禅定」への道のり
空海の伝説が残る場所は、出釈迦寺の境内からさらに山道を約50分登った先にあります。
そこが奥の院「捨身ヶ嶽禅定」。
ここは、出釈迦寺の中でも特に神聖な場所とされ、かつては札所でもあったほど。
「禅定」とは、心を落ち着ける瞑想状態を指す言葉で、この地名からも空海が深い精神修行を行った場所であることがうかがえます。
山道は整備されていますが、急坂が続くため本格的な登山装備があると安心です。
頂上が近づくにつれて、空気が凛とし、自然と心が静かになっていくのを感じられるはずです。
山頂に広がる絶景と“気づき”
捨身ヶ嶽禅定の頂上からは、讃岐平野、善通寺の街並み、そして瀬戸内海まで見渡すことができます。
断崖の下をのぞき込むと、空海が身を投じようとしたというその“深さ”に息を飲む人も多いです。
ただの景色以上に、この場所には「何かを手放して、一歩前へ進む」ためのヒントがあるように感じられます。
人生に迷ったときや、気持ちをリセットしたいときに訪れると、心に深く響く体験ができるでしょう。
注意点と登山準備のポイント
捨身ヶ嶽禅定は山頂にあるため、準備はしっかり行いましょう。
服装と装備のポイント:
- 動きやすい服・靴(スニーカーより登山靴がベター)
- 飲み物(夏場は多めに)
- 帽子や日焼け止め(木陰が少ない場所もあります)
- 滑り止め付手袋(チェーンをつかんで上る場所があります。)
また、出発前に出釈迦寺の本堂でお参りを済ませてから登るのがおすすめです。
静かな気持ちで歩みを進めることで、登山というより「自分との対話の時間」になるかもしれません。
まとめ|心に深く残る、空海と出会う旅
捨身ヶ嶽禅定は、ただの登山ルートでも観光地でもありません。
そこは、空海という偉人が、人生のすべてをかけて願いを託した場所。
「自分は何のために生きているのか?」
「本当にやりたいことは何なのか?」
そんな問いに、静かに寄り添ってくれるスピリチュアルな時間が、ここにはあります。
香川県・出釈迦寺の奥の院を目指す旅は、日常から少し離れて、あなたの“内側”を見つめる旅になるかもしれません。